DEATH RACE 2000/1975米



6/4 タイのホテルで自殺し亡くなったデヴィッド・キャラダインの主演作品。
デビッド・キャラダインと言えば「キル・ビル」より、「燃えよ!カンフー」のケイン役とこの作品のフランケンシュタイン役のイメージが強い。
この映画に関して言えば、観るのは、多分人生で五回目くらい。


一言で言えばブラックな「キャノンボール
R指定の「チキチキマシン猛レース」と言ったところ。
制作はロジャー・コーマン
さすが「私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか*1」を証明する素晴らしい出来。


帝国主義を標榜する未来のアメリカを舞台に「人をひき殺すとポイントになる」アメリカ大陸横断レース。
かなり無茶なレトロフューチャー
女性は年齢に応じて男性より10点増し。
10代の若者は40点。
12歳以下の子供は70点、男女問わず75歳以上の老人を轢き殺すと100点がレーサーに貰える、
R指定間違い無しのアブナすぎるルール。
病院では「安楽死デー」と題して車椅子の老人を道路に放り出して轢き殺させようとしてみたり実にブラック。
これを映画にしよう、って考えるとこがスゴい。
こういう表現を寛容する社会性があったと言うか、今はそう言う寛容さが失われてしまったと言うか。


刺激を求めて行き着いた娯楽の果ては殺人ゲーム、って意味でシュワルツェネッガー主演の「バトルランナー」なんてのも思い出す。古代ギリシャのコロッセウムでの殺し合いでもいい。
昔から人の殺し合いを娯楽にする歴史はあるって事でしょう。
最近だとストーン・コールド主演「THE CONDEMNED」とか。
バトル・ロワイヤル」だってそうか。
絞首刑を公開してみんなで囲んで眺めるって言うのもあるし、昔なら張りつけにして下から竹槍で刺し殺すってのもある。
安寧な生活にひと時の刺激。
殺人を娯楽に。


各国代表がいちいち牛の角付きの車だの、まるで仮面ライダーアマゾンみたいな車に乗ってたりとか、まるで「機動武闘伝Gガンダム」みたいなテイストでわかりやすい国のイメージを張りつけてるのもかなりバカ面白く、ゴムの仮面と黒いパンツ一枚で女性とダンスを踊るデビッド・キャラダインは明らかに確信犯なコメディ。
スタローンが旧アメリカ的なキャラクターとして登場して、助手席に乗るのは金髪/巨乳で(昔のゴールディ・ホーンみたいな)頭の弱そうな女性ってのも狙ってるとこはよく解る。
ナチスとか言って鈎十字の付いた旗を振り回したりとか....アブナいアブナい。
鳥人間コンテストの仮装部門みたいな感じ。


レースのルールの無茶さ&キャラクターのエキセントリックさ。
激しいカーアクションシーン&身体張りまくりのスタント。
アメプロWWF的なオーバー演出、倫理観なんて無視した放送禁止ギリギリのブラックな笑いと、バカバカしい事をバカバカしくやりきったカルトな名作。
最近では「デス・レース」ってジェイソン・ステイサム主演でリメイクされたけど、この作品のブラックさはごっそり失われていて。
カーレース娯楽作品になってますね。惜しい。

*1:ロジャー・コーマン自伝のタイトル