スリーアウトチェンジ/スーパーカー 1998
そう、きっとそうだよ/夢見てたっていいんだ
わがままなんてもうずっと前だろう？
スーパーカーの1stアルバム。
確か当時テレビブロスのCDのページで褒めてて、UKサウンドにハマってる真っ最中の自分は速攻買いに行った思い出がある。
98年て事は....もう12年も経つ。
中〜後期のスーパーカーは、エレクトロ〜実験的サウンドに移行して行ったんだけど、メジャーにデビューしたてのこの段階では、音数も少なくシンプルで非常に正統派なギターポップを演奏してる。同時代の『青春ロック＝初期衝動/焦燥音楽』として歌うナンバーガール(時代)の向井秀徳とは違って、スーパーカーは若さから来る諦観やニヒリズム(と言える程極端では無いけども)を歌っているんじゃないのかな、と思える。
現代っ子のどことなく冷めた視点、
平坦な戦場を生き抜く今っぽい感覚。
過多な情報に埋もれて無感性を装い、無感覚な世界で生きて行く、毎日の中で緩慢な死に向かう。
アルバムタイトルも『スリーアウト』してから『チェンジ』してやり直す、ってタイトル。
ホームランでもヒットでも無くって、最初っから負けの「スリーアウト」で始まるって言う。
ガンガン進んで行こう、って言うよりは頭を冷やしてもう一回、ってニュアンスじゃないかなって思う。
音を先行するバンドに例えると、ジザメリからシューゲイザーなフィードバックノイズを取り除いて残ったギターポップ。
ディストーションなんかでギターの音がギザギザ尖っていてもナカコーのvoとミキのvo(co)が、音を柔らかくポップに和らげてる。
とはいえジザメリに代表されるギターポップの聖地グラスゴーって感じの音では無くってほんと『ジザメリ』って感じの音。ニュアンスが伝わり難いんだけども、もし音を模倣したんだとすればグラスゴーサウンドを模倣したんでは無くってジザメリの音を模倣した、ってニュアンス。
別に貶している訳では無く(個人的にこのアルバムは好きなんで)模倣にしろなんにしろこの時代(当時)にこれほど上質ギターポップ/ジザメリサウンドをやってのけたバンドって他に知らないし、19曲の楽曲全てがデビューアルバムとは思えないくらいレヴェルが高くって充分聞き応えがある。
渋谷系サウンドが終焉しつつあってフリッパーズギター(1989〜91年)もヴィーナスペーターも解散(1992〜94年)して、海外ではストーンローゼスが例のスパイクアイランドを90年に成功させたのをピークにしてシューゲイザーは下降線、そんな中でのデビューはやっぱりシーンの中では当時異色だったと思う。
今となってはジザメリフォロワーにMORNING AFTER GIRLSとか初期B.R.M.C.とか居るけど。
ポストスーパーカー、って言うと。。んー、って感じ？
これとかねぇ。。。
中でも傑出してるのはシングルカットもされた、ナカコー曰く『スターウォーズのラヴシーンをイメージして作った』って言うアンニュイなラヴソング(#15 プラネット)
流麗美麗なストリングスとシンプルで悲しげなギターサウンド音が矛盾したまま混ざり合い
どうせ駄目だろう、泣いてたって/愛をなつかしむだけさ』
いまさらだよそんな/今ならほら言えた
と、切ない諦観まじりでそれでも心の何処かに引っかかったままの過ぎてしまった『好きでいたキモチ』を歌う。
気怠げで囁くようなナカコーの透明感のあるvoも胸に沁みる。
アルバムタイトルの「スリーアウトチェンジ」って、つまりこの曲で歌ってる中身と符合してる。
他にもミキがvoをとった疾走感のあるシンプルな音数(エレキGとvoだけ)の(#4ドライヴ)や、ディストーションも生かされた王道ギタポ(#01 クリームソーダ)なんかもあって、J-ROCK/POP史でもかなり重要な必聴盤だし、そんな事は差し置いても名盤。
個人的にはこれ以降の展開よりもこの頃の方が音的に素直で全然好みだったりする。
デビューアルバムにして19曲入りの大ヴォリューム、しかも(#19 トリップ・スカイ)は12分49秒の大作。
先にも書いたがスーパーカーは以降サウンドをどんどんエレクトロに移行させて行くんだけども(こういう暗中模索、試行錯誤、実験的展開はRADIOHEADっぽい)、個人的にはこの時代が一番好きだった。
っつーか、後期はあんまし好きじゃなかったりして。
01.クリーム・ソーダ
02.(アム・アイ)コンフュージング・ユー?
03.スマート
04.ドライヴ
05.グリーンエイジ
06.u
07.オートマティック・ウィング
08.ラッキー
09.333
10.トップ10
11.マイ・ウェイ
12.シー・ガール
13.ハッピー・トーキング
14.トラッシュ&レモン
15.プラネット
16.イエス,
17.アイ・ニード・ザ・サン
18.ハロー
19.トリップ・スカイ
