ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/2007日



ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 通常版 [DVD]

生は、死の始まり
死は、現実の続き
そして再生は、夢の終わり


『ビルの端に立って自殺出来るか確かめてみた』庵野秀明が、憧れの『ガンダム大地に立つ』を越えるべく制作した一話に始まり、仰々しくも暗喩的且つ衒学的でジャーゴンに溢れたタームの数々。
フロシキをさんざ広げまくり、テレビ版「エヴァ」の最後にはメタフィクションな視点を絡めつつ「おめでとー」と内的世界からの開放で終わり、次いで制作された劇場版では諸星大二郎暗黒神話』の大オチをまんまなぞったり(まぁ諸星大二郎作品との類似は有名だけど)、それですらファンは納得せず、さらに制作される事になった『ヱヴァ』今作。

ちなみに『エヴァ』は、初回、夕方の放送をリアルタイムで最初から観てました。
だから何って訳じゃ無いですが。


いまどき作画が、綺麗なのは当然。
悪い訳が無いし、もし悪くしか作れないならば今さらやり直す意味が全く無い。
DVDで観たんだけども、大画面のプラズマで観ても黒い部分がかなり潰れていて、画質的には少々きびしい。
元素材はハイビジョン対応だろうし今さらDVDに画質を落として収録する事も無いだろうに。
で、結局ブルーレイで出し直ししても画質に満足出来なかったファンは買ってしまう、と言う商売商売。


機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』みたいなテレビ版の作画書き直し&編集のやり直し。
Zガンダム』の劇場版みたいに旧テレビ版の作画と新作画をごっちゃにして継ぎ接ぎにしてみたり、『一見さんお断り』にざっくざくに無茶なカッティングの編集をしていなかったのには一安心。

個人的に初見の時に随分と感動した『見知らぬ天井』があっさりと時系列順の編集になっていたりするのがちょっと拍子抜けだったり、逆に後半の『ヤシマ作戦』での無駄なくらいメカのディテールが異様に書き込まれ増えてる構成のバランスの悪さは、作画の「メカヲタ」樋口真嗣がかなり噛んでるだろうなーって思えるこだわりっぷり。

あさりよしとおデザイン『サキエル』への爆撃の際、ATフィールドに防がれて爆発する爆雷の爆発の形状とか(イカ状っていうか)かなりこだわってるのが判る。
庵野秀明にしろ樋口真嗣にしろ、『細かい無数のディテールの積み重ね』によって全体のマッシュアップを図ってる訳で、その辺りはやはり注目部分。

アニメで観るべきはキャラクターだけでは無く、舞台背景や小道具まで全て一律に『描かれたもの』な訳で。
3DCGで書き込まれた使徒の動きは非常に注目で、特にラミエルの過剰なリアクションはなかなか見物。
新しく付け加えられた要素の部分も幾つか散見出来て、これまでのテレビ版の流れとは違う新しい『エヴァ』への布石は色々と打たれた感じ。


とはいえ、まだあくまでも『序』であって、渚カヲルが登場したからってキャーキャーミーハーに騒いでも仕方無いし、新要素を出しつつも押さえ気味で、あくまでも
『これまでのお話をキチンと辿りつつ新しい事も入れて行くんです』
というこれから続いて行く四部作へのスタンスをはっきり示した作品。

確かに総集編と言ってしまえばそうなんだけれども、テレビシリーズがまったく未見でも、話として充分ついて行ける構造って言うのはつまり『テレビシリーズとは別に単独として完成されているもの』を目指しているからだろうな、と思える。

再構成された『ヱヴァの物語』への評価、って意味では未だこの段階で付けるべきでは無いでしょう。

正直、個人的には無数の謎なんてどうでも良くって、要は『最後に広げまくった風呂敷をどこまでキレイに畳めるのか?』って言う部分が一番の見所だったりする。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 特報


http://journal.mycom.co.jp/news/2009/04/25/008/
このポスターが素敵過ぎて失神しそう。。。