SNAKES ON A PLANE/スネーク・フライト 2006米


スネーク・フライト [DVD]


なんか世間で「B級」って言葉が安易に使われたりすると思うんだけど、それってちょっと違うんじゃないだろうか。
なんでもかんでも安っぽい作品を「B級」「C、D級」と言えばそれで判った気になれる、充分判読出来てる、そー言うのは違う。
言葉としてざっくりし過ぎ。


例えば「B級」って言っても、監督の才能が無くって作品自体の質の悪い天然「B級」もあれば、予算の都合でどうしてもディテールがずさんになってる貧乏「B級」もあるし、低予算を逆手に取って安っぽさを前面に出して撮る確信犯「B級」ってのもある。
この作品がどーいうのかと言えば「B級作品である事を前提で、確信犯的にB級を撮ろうとして撮られた」B級作品、と言えると思う。



監督は、意外と拾い物の「セルラー」「デッドコースター」デヴィッド・R・エリス。
出演はサミュエル・L・ジャクソン
「ディープブルー」では、役者陣の中で一番生き残りそうなキャスティングなのにも関わらずいきなりサメに丸かじりされてしまったと言う(←「ディープブルー」ネタバレのため反転)自分の役割と存在を解ってる役者。
この作品に出演したのもむべなるかな。


中身は飛行機の中にヘビが溢れて乗客が逃げ惑う、ってだけの非常にシンプルなパニックムービーで、ヘビの存在がディザースタームービーに於ける「天災」と同様の役割を果たしてる。
つまり「タワーリング・インフェルノ」で言えばだし、「ポセイドンアドベンチャー」でいえばでありであり毒ガス。登場人物にとっての脅威としてのヘビ

このヘビも一種類だけならまだしも、アナコンダクラスの大蛇からラトルスネークだの、まだらのヤツが出て来たりと見栄えにも気を遣ってる。
一種類だと観客も飽きるからな、って言う。
しかもわざわざトイレで立ったまんまヤッてるカップルにヘビが噛み付いてみたり、しかも噛み付くのが狙いすまして乳首だったり。。
普通に考えれば「レイ」(ハワイに到着したら首から下げてくれるヤツ)に興奮剤が付けてあるんだからレイが接触した首筋とかでしょうけど「乳首に噛み付いた方が面白い」ってだけで乳首。
で、トイレで小便してるおっさんの場合は、当然のように股間にヘビが飛びかかって噛み付いて、指ぬき状態になってみたり。
実に解りやすい。
明快さはB級映画の命でしょう。


ディザースタームービーの定番「観客が一番死んで欲しいと思えるエゴイスト」が死ぬパターンも当然のごとく盛り込まれてあるし、しかも「巨大なヘビに丸呑み」されるなんて言う素敵な演出。
最後の「あっ」というオチも効いてるし、危機感としては火とかに比べると弱かったりするけども、悲惨さとしてはヘビに噛まれた被害者の末路が結構エグ目に描いてあって好感触。
確信犯だ、ってのが解りやす過ぎて、制作者が確信犯として楽しんで作ってるのが伝わって来るんだけども、ヘビだののエフェクトとかある程度お金もかかってるし、やっぱり本当に低予算の「天然B級」作品には勝てないよなぁ、ってのが惜しいところ。
もっとアナコンダクラスのヤツが暴れまくって、ナイフ片手のサミュエルとバトルを繰り広げたりしても面白かったんだけども。
キックボクサーがヘビとタイマン、とかさ。


そこそこ面白いし、バカバカしいし、くだらない。
ただ色んな要素を生かしきれてない感じ。
ちょっと勿体ない。