ホリさまぁ〜ずに観るヌルさの変遷


やっぱり「神さまぁ〜ず」が面白かったのは、まるで一昔前の深夜みたいな「お色気」満載の要素が作用した結果だったんだろうと思う。
ゲストにオムツ一枚でカメラを担いだ(存在そのものがエロスである)村西とおるを登場させてみたり「インスタント女王様選手権」「ジェントルマン選手権」など様々なバカバカしい名企画を生んだ。
下らない、男のバカバカしいまでのエロに対する情熱。
そういうバカらしさが笑いに繋がる。

深澤ゆうき手島優KONANがハネた切っ掛けもこの辺りだったように思う*1
個人的には番組開始直後のトーク版の時代はチラ見していたくらいだったが、企画ベースの番組になって以降は毎週欠かさずハマって視ていた。あの当時の深夜番組の中でも群を抜いて面白かったと言える。


それが「神さまぁ〜ず」から「さまぁ〜ず式」に名前を変え、番組内から「お色気要素」が払拭された。
現在は「ホリさまぁ〜ず」として放送しているが、お色気要素は全く見られない。


夕べ放送分「ホリさま」は、ゲストにROOKIESメンバーを迎えての「みんなで役萬!落とさずロン!」企画。
さまぁ〜ず時代の「ジェントルマン選手権」を思わせる障害物競走でありながらも、コース上の障害は水着アイドルではなく黒いマネキン人形が勤め、出演者の中の女性はレギュラーの青木アナと黒沢のみ、と極めて健全な内容になっていた。
深夜番組でのさまぁ〜ず番組を視る視聴者がROOKIESを求めているわけも無いし、接待みたいに番組内容も最後まで無難なままでまとまってしまった。
ただ、なぜかROOKIESがゲストなのに野球には一切触れず麻雀と言うシュールな企画はアイデアとしては面白いが。


今や番組内容がお色気ではないが、出演者がお色気な「おねだりマスカット」や「神舌(キス我慢選手権、ストイック暗記王、アイドルにおっぱいを見せてもらおう)」「アリケン」などテレ東深夜だけが「深夜の伝統的お色気路線」を細々と継承しているものの(あとはビーチ9くらいのものか)ほぼ壊滅と言っていい。

深夜にジャニタレが格闘技について学んだり、ゲストと一緒にゲームをやり、買い物に行き。
バウみたいな面白看板や職業を紹介してみたり。
そんなもの別の時間でやればいい。
お色気の何が悪いんだろうか。
誰かに迷惑かけている訳でもなく、逆に言えばそう言う番組を観て「けしからん」と言う人間こそが迷惑な話でしかない。
健全な番組が悪いと言ってるんじゃない。
健全で潔癖でそれで面白くても、もちろん構わない。
別にテレビで水着が観たい訳じゃあ無い。
別にテレビでいやらしいものが観たい訳じゃあ無い。
過激なものが観たければTV以外に選択肢はいくらでもある。
ただ中身がどれだけ面白くても「お色気」と言うだけで変節しなくてはならない事が許せないだけでしかない。
お色気があって面白かったものがそれを削がれたせいでパワーダウンするのを見るのがイヤなだけ。


面白く無くて健全な番組と、面白くてお色気のある番組なら迷わず後者を選ぶ。
お色気があった方が面白いならそれをやるべきじゃないんだろうか。
お色気を排除し、あえて番組を面白く無くしてしまう理由はなんだろうか。
そんなに潔癖でなければならない理由はなんだろう。


笑いとは本来、下世話なものだ。
アブナくて下らない。それが面白いものになる。
だから安全で健全な笑いを作ろうと意識すればヌルくならざるを得ない。


http://www.cyzo.com/2009/03/post_1766.html
やり過ぎコージーが深夜枠で「天王洲猥談」「モンロー祭り」と言った名企画もお色気があったからこそ成立したんだし、だから深夜からゴールデンに移って、牙を抜かれて今や死に体で煩悶している。
やりすぎガールもただの壁の花と化し、フューチャリングされる事も無く、ゴールデンで放送された「やりすぎ格闘王」企画の時のやりすぎガールのエキシビジョンマッチもカットされていた(あれは特に面白く無いから別に構わないが。。)。
深夜は自由度が高いからこそ面白いし、視聴者に「理解」を期待出来る。
しかしゴールデンや浅い時間は頭の堅苦しい「理解」を期待出来ない人間を意識しなくちゃいけない。
だからヌルくなる。
だから面白さを削がれる。
「動物大好き芸人」なんて別に観たく無い。
イムリミットグルメツアーなんて観たくも無い。
ゴールデンには不向きでも寺門ジモンの変態っぷりを観たいだけ。
モンローを迎えてのシチュエーションコントで芸人がオロオロする様を観て笑いたい。
下ネタ満載の体験談を怪談風に語って欲しいだけ。
くだらなくて、バカバカしい。
そんなものを観たいだけ。


巧くバランスを保っているのは「アメトーーク」くらいか。
ガンダム芸人」や「家電芸人」のヒットが支えになって、深夜と言うには浅くゴールデンと言うには深いいわゆるネオバラエティ枠で「あぶら揚げ芸人」や「おなかピーピー芸人」ですら成立させる。
くだらないが健全。
安全だがバカバカしい。


ソフトになって行く。
無難に、安全なものに変わって行く。


「TVはどんどんつまらなくなるな」
とは「お願いマスカット」の最終回ドッキリを観た土田の発言だが、
徐々に潔癖性に変わって行くTVがこのままどうなって行くのか。
注目しているし期待している。
例えどうなってしまうにしろ。


*1:神舌もだが