RICHARD III/1995米英



蜷川版リチャード三世を観てるので、その流れで。
リチャード三世は好きだ。
舞台でも良い、映画でも良い。
人の心は結局、言葉に動くのだと知る。


ウィリアム・シェークスピアの『リチャード三世』をナチスドイツを思わせる架空の国を舞台に描いてみせた作品。
監督は、駄作「ファイアーウォール」のリチャード・ロンクレイン


リチャード三世って言う「自らのエゴの為、手段を選ばずのし上がって行く」キャラクターがまるでアドルフ・ヒトラーを思わせる主人公リチャード三世にハマってしっくりくる。
演説シーンでの話し方は露骨にヒトラーをイメージしていたり。
それを演じるイアン・マッケランも舞台でシェークスピア劇を演じた経験があり演技が素晴らしくフィットしていて、当時の英アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたのも頷ける演技力。
ちょっと卑屈で、意地が悪そうで、何か企んでて、善人に見えず、王の風格が無いリチャードIII。
絶妙のキャラ作りのイアン・マッケラン巧過ぎ。
映画の半分はイアン・マッケランの魅力で持ってる。



舞台はナチスドイツっぽい世界をイメージした現代劇なんだが、戯曲の台詞をいじらないようにしているせいか、
有名な
「馬をくれ!馬を!代わりにこの国をやるぞ、馬をくれ!」
っていう台詞を車に乗りながら言ってたりするのが違和感ある人にはあるだろう。
「車をくれ..」に変えないってのはいさぎ良いが。
ちなみにバズ・ラーマン版「ロミオ&ジュリエット」でもシェークスピアの原典を変更しないようにした為、
「お互い剣を捨てろ」
って台詞に合わせて拳銃の横に「SWORD」ってブランド名が書いてあるシーンがあったりした。
...皆さん創意工夫が大変。


単純に戯曲の舞台を置き換え、小道具も戦時っぽく、
衣装は絢爛豪華なゴシックにして、主人公はヒトラーのパロディ。
演出のみ採り上げてみてここが良いって部分は見かけないし特筆するほどでは無いんだけどもイアン・マッケランとリチャード三世のシンクロ率の高さ(演技力)とパロディっぷりで、かなり面白く観れる。
はまり役イアン・マッケランだからこその映画。