女必殺拳/1974日

20090611234658


日本で少林寺拳法の修行を積んだ紅竜(志穂美悦子)が行方不明になった兄を捜すため、麻薬組織に潜入する和製カンフーアクション。

もう、ね。
素晴らしすぎて言う事無いです。
今や「ちょっと小難しく文学性だのグダグダと単館でしか上映しないで一部の自称映画マニアだけが喜ぶ作品」か「薄っぺらな感動満載のド演歌みたいな定番&安っぽいメロドラマ大作」ばっかりの日本映画には無い無軌道で無茶なパワーとバカバカしいまでの無邪気さ。
自称「映画マニア」とか言って自分のサイトだので小難しい作品についてウダウダ書いてる暇あるんならこれを観ろってくらいパワフルで理論なんて吹き飛ばすような勢い。
今の中国にコピー商品が溢れてるのとは違う、色んな既出作品をイメージさせつつ、それを遥かに越えようとするリスペクト。
ダメ映画「少林少女」を観るくらいなら、この映画を数回観る方が人生は豊かになります。
そのくらい価値がある。


正直、前半の志穂美悦ちゃんのアクションだけの事では、まぁまぁ。
なんだけどもソニー千葉が突然登場するわ、敵軍団は何故だか町中なのにアフリカ原住民みたいな盾を片手に裸にマントの衣装で、武器が吹き矢だったり。
もうその辺りから支離滅裂。
敵のキャラを紹介するのにいちいち下に筆文字のテロップが出て
「南半球空手チャンピオン エバ・パリッシュ」
なんで女子の金髪白人の空手チャンプが、わざわざ悪の麻薬組織で演舞してるんだかよく解りません。
しかもプールサイドで。。。


サンドバッグを蹴ってるヒョウ柄のワンピース軍団の下には
「タイ式キックボクシング アマゾネス7」
誰が名前付けて読んでんだ?ってツッコミを入れる人もおらず。


麻薬組織がどーやって麻薬を密輸してんだって段でボスが、
『このヘアピース(カツラ)にたっぷりヘロインを染み込ませて密輸してるんだ、グワッハッハッハッ』
ってよく麻薬犬に見つからんかったね.....。
運が良いんだろうなぁ。
ラッキーで生き残った悪の麻薬組織☆

後半の展開はブルース・リー「死亡の塔」を意識してるもののどーみても「イーアルカンフー」レベルで、志穂美悦子が強いんだか敵が弱いんだかアッサリ&サクサク敵が死んで行く。。。
「タイ式キックボクシング アマゾネス7」もキック一発で撃沈。
まぁ雑魚だから。


最後はほんとブルースリーの映画みたく大ボス天津敏(仮面の忍者赤影甲賀幻妖斎役でお馴染み)は、ベアクロー。
しかし弱くって志穂美悦子から逃げまくり。。。
頼むから戦ってくれ、ボス。

石橋雅史の演じてる犬走一直ってキャラは強く無いんだけど格好良かったり、山本昌平も何故か黒人って設定なんだか妙に黒いし白スーツ。
銃撃って自分で車爆破しといて麻薬燃やしちゃって、それで志穂美悦子のせいにしてるんだからズルイなー。
敵軍団の個性強すぎ。アホ過ぎ。
素晴らしい、ホント。

予算だの技術だの、文学だの情感だのっていうのは、映画の作り手の気持ちや、肉体言語や有無を言わせぬ圧倒的な力技の前では無力。
そう言うこと。
頭じゃなく、身体で映画を作れ、と。
しっかしバカで面白いなー、しみじみ。
タランティーノが好きなのよく解る。
キルビルに登場する敵キャラのいちいち個性が強いのってこの辺がルーツでしょう。