沈夫人の料理店 1 /深巳琳子 2009

深巳琳子の新作。
前作「沈夫人の料理人」の続編かなーと思いきやどうやら時代が違う。
「料理店」は1920年代中国の上海、「料理人」の舞台は明代の江南地方とかなり違う。数百年か。
だから登場人物は「沈夫人」と「李三」っていう登場人物の名前は同じだけど、パラレルワールドくらい違う。
でも時代が変わっても「沈夫人」は金持ちのグルメサディストで、「李三」は料理人でマゾヒストって関係性は変わらない。苦難を受ければ、悩みを持てば持つほど美味い料理を作る(と沈夫人に)思われている料理人李三は、憧れの(崇拝する、尊敬する、信仰する)沈夫人の為に料理を作って、夫人は李三を悩ませ続ける。
相変わらずストレスたっぷりで寿命の短そうな。。。
気が弱くて心配性で、思い込みの激しい李三。
前作「料理人」は沈夫人の家の住み込み料理人だった李三が毎回夫人の責めに苦しみながら料理を作り上げる展開だったけど、今回大きく違うのはタイトルに「料理店」とあるだけに、沈夫人が李三を料理人に据えて「料理店」を開店させようとする部分でしょう。
とはいえ店が出来るからって関係性は一切変わらず。
続編、と捉えても良いくらい。
ただ時代が違うだけに料理の時代性がかなり違うし、「料理人」に登場する料理は「古典的な中国の豪華料理」って感じだったのが今作の場合は、現代に繋がってるようなイメージのある料理が出てくる。
しかしまぁ。。よくここまで崇拝出来るもんだねぇ。
だからこそ夫人も気に入るんだろうけど。