名探偵の掟 第一話:雪原独居老人殺人事件 〜密室宣言〜

http://www.tv-asahi.co.jp/meitantei/
東野圭吾原作「名探偵の掟」ドラマ版観ました。
原作は、ずいぶん前に読んで記憶にうっすら。



まず名探偵「天下一大五郎」に松田翔太....ってキャスティングに引っかかりを覚えつつ。

....っつーか、ピアスって!!
名探偵が耳にピアスっすかっ?!
名探偵役が「天下一大五郎」なんていうくだらない名前なのは、この「名探偵の掟」っていう原作が本格ミステリにおけるところの「コード*1」をカリカチュアライズして見せる為の装置の一つであって、だからこそ名探偵「天下一大五郎」は各国歴代の名探偵の「定番のルックス」の全部を足して割ったようなルックスでなくちゃあならないと思うんだけども、それにしてもピアスって....松田優作が「野獣死すべし」の役作りで奥歯を抜いたのを見習って欲しいもんですが。

そーいえば香椎由宇演じる藤井茉奈って役こそ「原作モノのテレビドラマ化にあたっての定番キャスティング」のコードって感じがする。
「男ばっかのキャスティングだと地味だし視聴率もさぁ..」って会議で決まったキャラクターって感じ。
オダギリが「時効警察」やってた枠で香椎由宇ってのもアリアリ。


元々が「コード型本格ミステリ」(島田荘司の「新本格宣言」以降の)に対するメタフィクション*2、或はアンチミステリ的な視点が面白い原作であって、ドラマ化にあたって「ミステリに対して特に思い入れのない一般視聴者」が観るように出来ていないと思うんだけども、だからこそ作中に出て来る「本格ミステリ〜」っていう台詞に違和感を覚える。
普通のミステリドラマ感覚で観てる人が、作中「本格ミステリ〜」って台詞の「本格」って部分を強調しているからこそのカリカチュアライズだって事に気付くんだろうか、疑問。
サスペンスと、ミステリーと、(本格/新本格)ミステリの差って?って言うとこまで認識してるか/させるか否か。


ドラマとして観ると、元々の原作の短編を延ばしに延ばしてドラマ化しているもんだからかなり冗長な作りになってるし、キャストを作ったりオリジナルな要素を入れて行くんであれば作品自体に変更を加えて思いきってもう一個殺人事件を足すくらいの勇気は欲しかった。
ケラ*3とか三木聡演出くらいの小ネタ要素を入れてみるとか。


ドラマの作り自体は、面白みが少なくって原作に沿ってマジメなんですよね。
これから先、原作「『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論 二時間ドラマ」で松田翔太に変わって誰をキャスティングするかってのが見物だけども、もし変更無しで松田翔太だったらこのドラマの評価はかなり下がる。

*1:お約束

*2:この作品の場合「作中の登場人物が、作品や自身の存在がフィクションである事に対して自覚的でそれについて言及する」事を指して

*3:ケラリーノ・サンドロヴィッチ