リアル鬼ごっこ/2007


リアル鬼ごっこ プレミアム・エディション [DVD]


なんのこっちゃ。
....ってのが観終わった感想。

【続きネタバレがありますので自己責任で】


検索してみたらば、某映画批評が引っかかった。
あまり感性が合わないので普段観ないサイトなんだが、折角なんで見てみると某氏が70点だか付けているって事で案の定。

まぁ「マイ・ブルーベリー・ナイツ」が30点だの「大帝の剣」が60点だの、「ウィッカーマン」に65点だの付けてるような人と感性が合う訳も無い。
「クローズZERO」が40点で「イーグル・アイ」が95点だって?!
ちゃんちゃらおかしい。
個人的には「マイ・ブルーベリー・ナイツ」は75点くらい。
大帝の剣」と「ウィッカーマン」は10点以下なら何点でも良い。

ま、よそはよそ、ウチはウチ。


パラレルワールドが存在するだかで、その世界はこの現世とシンクロしてる。
で、そのパラレルワールドでは「王様」が支配していて、王様の命令で「佐藤」姓のつく人間は「鬼」から逃げなくちゃあならない。捕まると殺される、んだそうだ。
で、主人公の佐藤君は何故だかその世界に跳ばされる。
で、いきなり鬼ごっこに巻き込まれてその世界の命運すら握る。
..ってなお話。


原作は読んでない。
個人的な事なんだが文章の完成度が低い*1と読む気にならない、ってのがある。
素人が描いた文章ならまだしも、お金を払って時間を使って読む文章のクオリティが低いなんて買う気にならない。

あと文章が肌に合うか合わないか、とかもある。
舞城王太郎とか北村薫とか夢枕獏なら良いけど、花村萬月とか中村能三訳のクリスティ作品とかは肌に合わない、とか。
これは生理的/感性的な部分だと思うし、判る人には判るし判らない人には判らない。
ドラマ「HERO」「BOSS」の演出を5分観ているだけで気持ちが萎えて「なんじゃ、このセンスも風味の欠片も無いクソみたいなテンポとカットは....」とつぶやいてチャンネルを変えるのも、判る人には判るし、判らない人には判らない。
初回視聴率18.1%....。


さて、上記の事情から映画だけを観た感想として。

まず棒読みなキャスト。
これに感情移入しろ、ってのがまず無理な話。
で、結果的に吹越満柄本明の演技が浮く。
二人は、標準的な演技を保ってる中、他が低すぎる。

ただ谷村美月は許す(なにはともあれ)。


次に、ご都合主義なシナリオ。
結末ありきで作られてるのが見え見えで、「この結末に持って行く為にこうやってこうやろう」って発想が見えるかの様。
雑な作りでリアリティも無いし、フィクションとしても魅力的かと言うとそんなでも無い。
理不尽な鬼ごっこのルールとか、「パラレルワールドで人が死ぬと(リンクする)現実世界の人も死ぬ」って設定自体は面白いんだけども、だからって決定的な部分までそれを使っちゃうのはちょっと厳しい。
理不尽に、不条理に人の死を積み上げる、って部分でも独裁者としての「王様」像が薄すぎる。
もっと恐怖が支配し、残酷に、残虐に、血にまみれて死体を積み上げないと。
こんなならフジでやってる「逃走中*2」の方がよっぽど緊張感があって面白い。
逃げ回る時にアイデアがあって「こんなかわし方があったのか?」って驚かせてくれれば良かったのに。
名探偵コナンレベルのひらめきすらない。
ただただ逃げて、ただただとっ捕まり殺される。
主人公の周囲のプライオリティの低いキャラクター順に死んで行く。

制作費一億円?!
嘘だろぉ。


つーか「王様の正体」ってのがしょうもな過ぎるし、もっと「妹だった」とか「主人公だった」「父親だった」とかの方が面白かったろうに、そー言うとこも生かしきってない。
出て来るキャラクターも掘り下げが無いし特色も無いからそれぞれ薄くって、しかもキャラクターが確立する前にとっとと死んでしまって、観ていて感情移入が出来ず、友人が主人公らを助ける為にビルから落ちたって「だから?」って感じがしてしまう。


んで最後はターミネーターみたいな事になって....。
オチの付け方までヘタクソって....救いが無いじゃないか。
その世界はどことリンクしてんだよ?!
70点?そんな訳が無い。
良くて20点。谷村美月の分だけ。


ちなみに「クローズZERO」は80点以上、「イーグル・アイ」は良くて40点程度。
人が違うと評価も随分と違うもんだ。

*1:http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/5814/material2003_09_a.html

*2:深夜の実験枠でやってる頃が一番良かったが....つーか、クイズ!スパイ2/7が一番面白かった