ザ・クイズショウ 第一話:正解地獄!夢の番組が人気ロック歌手を裁く

ゴールデン版「ザ・クイズショウ」観ました。


深夜版は、どうにもラーメンズの片桐が好きじゃなくってたまにさらりとしか観てなかったので、中身は大筋には知ってるけど細かいところなんかは今ひとつ知らない感じ。
一昔前のフジ深夜実験枠*1でやりそうなドラマ。
後追いが好きな日テレだけに、ワンテンポ遅い。


司会者役の櫻井翔は、片桐仁よりもアクが無い分かなり見やすくなってて、さらっとした毒気の無い日テレのドラマっぽい。
ビーフェイスで若くって....。
深夜版にあったアメリカのテレビ番組を思わせるような毒気とかはあんまりないし、「人にストレスを与える嫌悪感や緊張感」って部分はかなり薄い。深夜版が映画「CUBE」をイメージしたモノクロなセットを使っていたのに比べて、本家ミリオネアに近い青の色彩をつかったセットになってるのも意外と今ひとつ。
まぁ、いかにもゴールデン用に毒抜き済みです、って感じはしないでもない。
なんだか汗の匂いがしない狂気、っていうか。
全体的に「除菌加工済み」って感じがする。

ジャニーズだったり、松浦亜弥とか真矢みきとか、日テレのお昼の番組みたいなキャストも、いかにも九時台のドラマでございますって感じだし、マイナー感は抜けたもののそれが良く出るのか悪く出るのかは今後よく解る。
安全で健全なキャスト。
カメラワークも、演技も、演出も大味だろうが、粗雑だろうがどうでも良いし気にもしない。
好きなタレントが出てればそれで良い。
ゴールデンってそーいうもんか。

しっかしマーティ・フリードマン最近よく観るなぁ....。


そんな中、異物感アリアリの篠井英介のキャストはかなり良い感じで、あの中性的で不気味な雰囲気が作品の性質に合ってる感じを受けた。篠井英介のパートだけ、デヴィッド・リンチ作品みたいな不条理感。
やっぱり「タレント」じゃなく、ホントの意味で「役者」って存在感を出してるのはあの人なんじゃなかろうか。
つーか、篠井英介メインでやってくれたらなぁ....でも、それだとゴールデンは無理か。


スタッフルームの部分では手ぶれのカメラを使って不安感を出してみたり、一応カメラには気を使ってるけれどもカット割りはそんなでも無い。
いちいちキャストが話す度に切り替わって、アップだのバストショットにするような古くさくって安っぽい演出は今ひとつ*2に感じられて仕方が無かった。
引きの画だと役者の技量的に持たないってのは判るんだけれども、それならプロデューサー役は田中哲司にするとか起用の仕方もあったように思うけれども。
なんで、あんなに腕のある役者が脇のスイッチャー役やねん、と。
編集が今ひとつ雑く感じられる部分があったのは話を盛り込み過ぎたからか。

折角の一話目は、スタッフルームでの混乱とかは描かない方が、世にも奇妙な物語みたいな「回答者は目的不明の異空間に取り込まれた」不条理感が出るし、まだ判断材料の少ない視聴者は回答者と同じ不条理感を味わって、それこそが「ザ・クイズショウ」ってドラマならではの雰囲気だと思うんだけれども、ゴールデンではスタッフの混乱ぶりを描く事でドラマに人間味が出てしまった。
ディレクターの暴走、スタッフの混乱を詳しく描くのは後々で良かったと思うんだけれども。


このドラマって不条理で理不尽なのは前提で、だからフィクションなのは当たり前で、だからこそ内容の整合性なんかよりも役者の演技とか密度とか狂気で魅せるものだと思うんだけど、このキャストと画面だとかなり薄味になってるし「狂気」なんて決して期待出来ないでしょう。
そー言う意味では深夜版とは全くの別物として観た方が良いんだろうなという感じがする。


....なら深夜の方が面白かったのか。

ザ・クイズショウ DVD-BOX

*1:JOCX-TV2

*2:画面は、被写体に近い画の方が視聴者が感情移入しやすく演技の粗が見えにくく、引きの画の方が粗が見えやすい