名探偵の掟 第二話:口の字館 会社社長愛人密会殺人事件 〜凶器の話〜
温泉、グルメ、電車の三つは「本格ミステリ」の掟じゃなく「2時間サスペンスドラマ」の掟じゃないだろうか。
....なんかこのセリフ1つだけでも、このドラマ脚本/制作者の「本格ミステリに対する理解度」ってのがいかに浅いかってのが良く解る。
どうして「ミステリ」って言葉の前に「本格」って付けているのか?を全く理解してない、っていうか。
その程度ならなんでドラマ化なんてしようと思ったのか理解に苦しむ。
萎える。
【続きネタバレがありますので自己責任で】
事件の内容自体は、メタフィクションだからこその牽強付会っていうのがらしいと言えばらしいし作中での探偵の位置ってのがはっきりしたように思うし「33分探偵」で見当違いの推理をしても否定されるのとは違う。
「33分探偵」っていうドラマは見当ハズレの推理の可能性を映像化に楽しみがあって、個人的にはアントニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件*1」を思い出す。
この「名探偵の掟」におけるドラマの中の探偵は絶対無比の推理力を持つ訳では無く、
「名探偵は作中の終盤、間違った推理を行わない」
という本格ミステリの「掟」こそが優先されて探偵の推理に物語が追従するし、だからこそえん罪になりかねないような間違った展開でも許容される物語世界になっている。
まぁ現実世界の最近の新本格ではそういった「名探偵の絶対的な名推理」をアンチ化して描く作品も幾つか見受けられたりするし(麻耶雄嵩氏の××とか山口雅也氏の××とか)、発展とはその「掟」を破ったところにこそある(クリスティの「アクロイド殺し」とか、中井英夫の「虚無への供物」とか)とおもうんだが。
で、その見当ハズレの推理となった血の凶器だけれども、もし科学捜査が未発達だった旧世代の本格であればDNA検査など行われず、あの推理はあの推理として(犯人を断定する理論としては非常に弱いが)成立するんだけれども、現代の科学捜査なら血の凶器は簡単に見破られてしまい、成立し得ない。
要はあそこで探偵に告発された容疑者が罪を認めてしまえば物語中であのトリックは成立する。
オースチン・フリーマン「ソーンダイク博士の事件簿*2」以降、現実世界に追従しフィクション世界でも科学捜査は発展して、科学の発展こそが本格を殺したとも言える。
だからこそ現代の新本格ミステリでは「携帯の使えない絶海の孤島」や「警察の来れない雪の山荘」などが舞台として選ばれ科学捜査の手を免れようとする。
確かにMYSTERY IS FUCK'IN NEVER DIE!!だけどもそれは科学と相性が悪い。
さて今作だけども、一話目と同じく短編の水増しだからやはり密度は薄いし、相も変わらぬ感じ。
おしゃれ探偵のテディジャケットっぽいラペルはどっかで見たなぁ、と思ってテロップの衣装協力欄を見てたら
Reats Tailor Zazous*3
なるほど。じゃあウチのジェームズロック*4のハットは松田翔太のとお揃いか.......。
多分、ここで売ってるこれかな。
お値段38,850円!高っ!
時効警察の時のフレペやらロンズデールやら、あのドラマ枠の衣装さんはモッズファッションが好きみたいすね。
ザズーの代官山店には昔、毎週のように通ったもんです。
Jam - In the City
細身のダークスーツに細身のナロータイ、白黒のコンピシューズにリッケンバッカー。
若いポール・ウェラー師匠が格好良すぎます。