RIOT CITY BLUES TOUR/PRIMAL SCREAM 2007



スタイルが無い事が至上。
スタイルが無いから自由。


PRIMAL SCREAM初のLIVE DVD。
これまでプライマルの映像作品って言うとベスト盤『DIRTY HITS』のボーナスDVD(PV)とか、ジュールズの総集編DVDにライブがちらちら入ってたくらいで、こうやってまとまって出たのは初めて。


プライマル好き(ボビー好き、か)としては当然購入。
収録コンテンツは2006年のRIOT CITY BLUES TOURでハマースミス・アポロで行われた「LIVE」とこれまでの「PV」
それとマニ&ボビーの「インタビュー」


【LIVE】

赤っぽい照明の下、いつもの様にmiumiu辺りの黒いタイトなスーツに黒シャツ、エナメルのヒールシューズ(多分、DIOR HOMMEのやつ)のボビー・ギレスピー筆頭にいつものメンツ。
サポートは、LITTLE BARRIEのバーリー・カドガン。
女性ファンならキャーキャー言う男前ルックスに技巧派ギターテク。
そーいえばwowowの「LONDON LIVE」って番組に出てた時もこのメンツだった。
ボビーはやはり格好良い...老けたけど。


ボビーの魅力ってのはその声にあるんだと思う。
どっちかっていうと巧い方では無いけども、妖艶って言うか色気のある声とそのルックスが相俟って独特の「ロックンロールアイコン」像を造ってる。

やっぱりケヴィン・シールズ(ex.MBV)が抜けてデジタルな路線から離れて、サポートのバーリー・カドガンの存在が象徴してるプライマルのスタイルって言うのはストレートな「ロックンロール」なんでしょう。
だからジャストフィットなバーリー・カドガンの溶け込みっぷりは、すっかりプライマルの正式メンバーみたいに見える。


セットリストは王道な「ROCKS」「SHOOT SPEED KILL LIGHT」に当然「COUNTRY GIRL」とか「SUICIDE SALLY &JOHNNY GUITAR」「DOLLS」とか新アルバムからの曲が結構な比率で、各アルバムからの(PRIMAL SCREAM、SONIC FLOOR GROOVEを除いて)曲が数曲づつ。
ただ今のプライマルがロックンロールモードだからって全てロック一色にして、完全にデジロックを排除するんじゃ無くって(でもケヴィン加入時代には定番だった「SKULL X」とか「MISS LUCIFER」が入って無かったり)適度にデジタルな感じも、ファンクな感じも入ってて、これまで経て来た変遷が残ってるのは「現在のPRIMAL SCREAMの到達点」を示してるようで面白い。


一曲目から「ACCELERATOR」で観客を煽るんだが出だしのギターがちょっとよれて残念。
カメラワークはコロコロ変わる短いショットが連なってて、アップが大半、ロングショットが短くってちょっと疲れる。
もうちょっとロングの落ち着いたショットがあっても良いかもなぁ、って感じがした。
MCは(まぁいつもだけど)無くって次々曲が続く。
「JAILBIRD」でちょっと歌詞を変えて歌ってる気がする。
....ヒアリング能力が低いんで確認不可ですが。



「ロンドン元気か?」ってマニがコールして始まる「SHOOT SPEED KILL LIGHT」
個人的には生ライブなら叫んで踊る曲ですね、これは。
意味が無くって、起承転結も無くって、ただただ格好良さの純粋培養。
なぜか演奏しながらバーリーとマニが頬にキスしあったりする。。。

今やサイレンを聴くとKASABIANの「CLUB FOOT」を思い浮かべたりしますけど、こちらもサイレンから始まる「SWASTICA EYES」
プライマルがデジタルに傾倒してた頃の代表シングル曲。
「SUICIDE SALLY〜」と反対にギター陣の演奏も大人しめ。
段々、バーリーがボビーの弟に見えてくる。


「楽しんでる?」「本当か?」「今夜は最高だよ」ってダルダルになったボビーがコール&レスポンスしてからシングル『COUNTRY GIRL』
こうやって女性コーラスが入って柔らかくなった演奏を聴くと、なんか非常にポップで正統なシンガソング曲なんだな、としみじみ。
んでちょっと長めの前奏からド定番「ROCKS」
当然の如くヘロヘロなよなよボビーの手拍子ダンスもありつつ。


休憩を挟んで、女性コーラスの一人がまるで格闘技の呼び込みみたいにメンバーを呼ぶ。
アンコール一曲目。
照明が赤から青に変わって、大人の色っぽいスローバラード「DAMAGED」

元の音源よりかなりピアノがフューチャリングされたアレンジ。
...切ないなぁ、と思ってたら「LOADED」


一転、照明が激しく明滅して、ドラムの音。
「KICK OUT THE JAMS MOTHER FUCKER!!!」
ってボビーの雄叫びと共に最後の「KICK OUT THE JAMS」
結構正統でオーソドックスなMC5のカバー。
バーリーが、リフをギュインギュイン弾き倒す。
んでまたマニとキス。。
スポットが瞬く中、サイレンの音が鳴り終了。


このライブって女性のコーラスがとても前に出た感じで、ロックって言っても演奏とかも刺々しい感じじゃ無くて全体的に80年代っぽいアレンジになってるような印象を受ける。
その辺もバーリ効果なのかも知れないけども。
だから「LOADED」も続く「MOVIN ON UP」もファンク色よりも一層色濃く80'sなロック色を強く感じる(ニアイコール)。


現代ロック&デジタルだったケヴィン・シールズ加入時代とは違う、ノースタイルで時代の変遷に応じてコロコロ姿を変えて来たプライマルだから、その時代その時代に『その時気が向いた』スタイルでやるって事なんだろうし、でもいつの時代も根本にはあった『ロックンロール』を純化した、シンプルなスタイルが今のプライマルのスタイルなんでしょう。


【LIVE】
1 Accelerator
2 Dolls
3 Jailbird
4 Shoot Speed Kill Light
5 Suicide Sally
6 Burning Wheel
7 Bomb Drops
8 Hole In My Heart
9 Medication
10 Rise
11 Swastika Eyes
12 Country Girls
13 Rocks
14 Damaged
15 Loaded
16 Moving On Up
17 Kick Out the Jams

【PV】
18 Loaded
19 Come Together
20 Movin on Up
21 Rocks
22 Jailbird
23 Swastika Eyes
24 Kill All Hippies
25 Accelerator
26 Miss Lucifer
27 Autobahn 66
28 Some Velvet Morning
29 Country Girl
30 Dolls