メゾン マルタン マルジェラ 「⓪ 手仕事により、フォルムをつくり直した女性と男性のための服」展

20090516214727


ようやく行ってきました。

GYRE2階EYE OF GYREにてメゾン マルタン マルジェラの「⓪ 手仕事により、フォルムをつくり直した女性と男性のための服」、別名アーティザナルコレクションの展覧会を開催いたします。既存の服、布地やオブジェを加工し、新しい服やアクセサリーにつくりかえる‘アーティザナル’(職人的な、の意)コレクションは、1988年の設立以来、メゾン マルタン マルジェラにとって重要な表現の場とされてきました。これらのアーティザナル作品を、過去に発表されたものも含め一挙にご紹介いたします。また、一部の作品はお買い求めいただけます。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。

GYRE「メゾン マルタン マルジェラ 展覧会のお知らせ」


丁度、表参道ヒルズの正面当たり、シャネル、ブルガリなんかが入ってる一階の自動ドアを潜って、エスカレーターで二階へ。マルジェラの店舗の隣のイベントスペースに受付台が置かれお馴染みの白衣を着たお姉さん二人が座ってる。
タイミングが良かったのか土曜なのに観客が誰もいない。
受付でサインして案内を貰うと「展示品の1つが売れたので今展示してあるものと解説が違っています」との事。
へぇ。。展示品買う人とかいるのね。
展示品が買える展示会、ってのが正しいか。


入って行くと薄暗い空間、照明が当たったトルソーに服が着せられてる。
服、とかろうじて呼べるものが大半。
例えば、

1.結んだ蝶ネクタイで作ったドレス(2006年秋冬)Women's
シルク、ウール、ベルベット、ブラックサテンポリエステル等、様々な素材のボウタイを、黒やミッドナイトブルー、ブラウン等のダークカラーで統一し、マネキンの上で縫い合わせて二種類の服を作りました。

案内より引用

元々、紳士の襟元を飾っていた蝶タイがドレスになってる。
変身と言うほど美しくもなく、どちらかと言うと奇抜と言うか「奇形」って言葉がしっくり来る。
必要性も必然性も無く繋ぎ合わされた無数の蝶ネクタイ。
それによって形作られた異形の「ドレス」。
深く考えなければただの「マルジェラがいつもやってるリメイク..アーティザナルコレクションだな」「ちょっと変わってるけどオシャレだよねー」ってだけだけど、こうやって1つ1つを展示品として改めて鑑賞すると、1つ1つが非常に不自然で「あえてこんな事をやらなければならない必然性の不在」が見えてくる。
「既製服」は人を飾る為のモノなのか、それとも服が服としてある為に存在するのか。
疑問を与える為に存在しているように見える「奇形」の数々。
服とは何ぞや?
「既製服」のレゾンデートルへの疑問符。


指輪を繋げて作った鎖かたびらみたいなドレス。
ショッピングバッグを繋ぎ合わせて作ったトレンチコート。
ウェディングドレスで作ったイブニングドレス
サンダルから作られたブルゾン。
エトセトラエトセトラ。
価値を無くしたゴミ同然の存在が「作り直す」事によって価値を与えられる。
解体と再構築。アンチテーゼ。
高いとか、安いとか、そんな事じゃなく、服の本当の「価値」ってなんだろうか。
「既製服」という概念への、カリカチュアライズされた作品によるニヒリズムな問いかけ。
そういう印象を持った展覧会でした。
あくまで個人的意見ですが。。。