THE DARWIN AWARDS/2006米

血が苦手で警察をクビになったプロファイラーのマイケルが、保険会社に入ろうとしてとんでもないことを提案。実はダーウィン賞候補となる人は遺伝子が関係しているという仮説を立て、その遺伝子がある人はおバカなことをして死にがちだから保険金の対象外にすればいい……というのだ。そこでアメリカ中のダーウィン賞候補者を探すハメになるというもの。
 目のつけどころはとても面白いコメディだけど、何かちょいとしっくりとはこない。それは誰もが“面白い死に方”という不謹慎な笑いを期待しているのに、話はそっちのダーウィン賞の方に向かうのではなく、あくまでも主人公マイケルと彼とともに行動する保険調査員(なつかしや、ウィノナ・ライダー!)の人間ドラマが中心になっていくから。だから弾けた“笑い”を期待せずに観ていれば、それなりには楽しめるはずだ。

http://www.darwinawards.com/
ダーウィンアワードって言うのがあるんだそうで。
例えばナイアガラの滝を樽に入って落ちたロバート・リーチが死んだのはバナナの皮に滑って死んだからって言うのは有名だったり、「マグノリア」って映画に「夫婦喧嘩の最中、夫が窓の外に向けて脅しで銃を発射したら、飛び降り自殺しようと窓の外を落ちる息子に弾丸が当たって死んだ」って事件が1つのエピソードとして取り上げられてた。ありえないような間の抜けた死に方で人類の自然淘汰に貢献した人を表彰するっていうブラックなダーウィン アワード。
そういう「間抜け」とか「あり得ないような確率の低い要因での死に方」を映像化しつつ、そのマニアであり保険調査員を目指す主人公のドキュメンタリー風映像とを組み合わせたコメディ映画。


この映画ってキャストが一番のポイントだと思う。
主演が「ジョセフ・ファインズの弟」レイフ・ファインズと「万引き」ウィノナ・ライダーってキャスティングが少しB級の匂いがして良い感じだし、アークエット一家では今ひとつマイナー感のあるデヴィッド・アークエットにリッチモンド・アークエットなんてキャストも狙ってる感じ。
ショーン・ペンの弟」故クリス・ペン、「ナチュラルボーンキラー」ジュリエット・ルイス、「ドーン・オブ・ザ・デッド」で立ちバックしてたタイ・バレルに「ER」リストカット看護婦長ジュリアナ・マルグリースとなかなか良いところを揃えてるうえにトーキング・ヘッズのジェリー・ハリソン、Xのジョン・ドーとかの渋いカメオ。
メタリカカメオ出演どころかがっつり全面協力してて(ライヴシーンまで)キャストに関しては文句無しの充実感。
なんでもウィノナ・ライダーの人脈だそうだが。。
なんだかキャストに第二子が多いのも劇中の「第二子の要因」を多く取り上げてるからかも知れない、あえてだとしたらなかなか深い。
つーか、こうやって並べるとほんと趣味が良いとしみじみ。
役者としては実力があるのにぱっとしたヒット作に恵まれない役者を揃えて。
ウィノナ・ライダーは、実生活はどうあれ全然綺麗で魅力的。
もっと観たいなぁ。。。


文学に関する知識も散見出来て、解りやすいのは主人公バロウズウィリアム・バロウズだろうし、犯人の手がかりとなる「HO」(表紙タイトルが少ししか見えない)の本はアレン・ギンズバーグ(ビートニクの詩人)の「叫び:HOWL」でしょうう。同じ柄のTシャツを持ってます。
そういった小ネタが多い。
だからそれが解るなら面白いし、解らないならそういうこだわりが一切解らないんだし面白く観れ無い。

作品内容は、元々の「面白くも悲しく間抜けな」死に方や事故を映像化してるだけに1つ1つのエピソードとしては面白いし、主人公の「血を見ると気絶してしまう」なんていうマンガみたいな設定もベタでコメディ映画的には良い感じ。
ドキュメンタリー風の作中撮影も普通に撮影するよりも切り替わりがあって意外と良い手法。
キャストだとか、小ネタだとか。
抱腹絶倒、って言うよりもクスクス笑えるような、そんな映画。
拾い物の佳作ではあるけど、見る側の知識量にも比例するかも知れない作品ではある。