低俗霊DAYDREAM/目黒三吉 2001〜08


今さらですが低俗霊。


ほんと今更。
かつて『月刊コミコミ』で奥瀬早紀が連載していた漫画「低俗霊狩り」の外伝的作品で、今作でも原作は奥瀬、作画が目黒という変わった方式をとっていて、これは奥瀬が「FLOWERS」の連載中「もう漫画を書くのは辞めて原作とかやりたい」と言い出して「夜刀の神使い」の原作なんかを始めた流れがある。
結局、コミコミで連載していた「低俗霊」が、コミコミが廃刊によって新雑誌ヤングアニマルになった時「想定する読者のターゲット層と違う」という理由で連載途中(しかも「自動人形編」の前フリ段階で)にして中止。
増刊誌ヤングアニマル嵐ハリケーンで一度だけ復帰したもののその雑誌も一号きりで終了。
んで以降は「火焔魔人 支配者の黄昏」「FLOWERS」なんかを色んな雑誌で(ノーラとか)こつこつと上梓するもその辺で疲れちゃったのか原作専門に移行。
画力は素晴らしいのに。


今作の主人公 崔樹深小姫(さいきみさき)は口寄せ屋*1とSMの女王様の二足の草蛙を履いていて「低俗霊狩り」みたいに相手にする霊が「スカートめくりする幽霊」といった行動が低俗な霊では無く、主人公そのものが低俗って言うのが正しい。
SMのボンテージ衣装で霊を払うし、エロいし。
「低俗霊」にあったような文言によるお祓い要素は無くって(漫画「孔雀王」の梵語のような)基本、霊と直接説得して言葉を伝えてこの世の未練を無くしてやる、って払い方が多い。


低俗霊の登場人物「第二臨教特命教師 田中源一郎」と「水前寺龍揮」を足したような格闘技の達人 柧武惣一郎が相棒として存在して、「役所が霊的な障害で支障をきたしている事象」に対して口寄せを行って欲しい、と言う形で依頼が来るお話の概要。

作画に関しては奥瀬の「FLOWERS」を見ればとんでもないレベルになっている訳で、目黒三吉も上手いのだけれど奥瀬のそれには及ばない。最近のどろネコ9でも良い。
今作でも格闘シーンでの描写の際、まるでプロダクションIGのごとく「蹴り込む→回転する軸足→撃ち込まれる足」といった「回転蹴りの描写に軸足の回転も書き込んでしまう」各部のコマ割りと描写なんかは奥瀬のそれで、原作と謳いながらも奥瀬がかなりの影響力を持ってたってのもこの一コマから知れる。
まぁ全体の作画が奥瀬の「それ」なんだから、そりゃそうだって感じですが。
回転蹴りの描写で軸足の回転なんて描く作家は少ない。
描くのは、柴田ヨクサルとか、士郎正宗とか、奥瀬サキとかか。

*1:霊魂とコンタクトをとる能力を使った仕事。イタコと同意